医療制度・行政|2026/9/5|羽田野 剛士

厚労省で「ドラッグ・ロス」対策を議論:未承認薬・適応外薬をめぐる現在地

厚生労働省が2026年9月4日に開催した検討会をもとに、ドラッグ・ロス対策、未承認薬・適応外薬、開発要請や公知申請をめぐる論点を整理します。

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厚生労働省は2026年9月4日、「第69回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を開催しました。

今回の議題には、ドラッグ・ロス解消に向けた取組、要望品目の医療上の必要性、開発要請を行った品目の進捗、公知申請への該当性、企業から提出された開発工程表などが並んでいます。

ここで重要なのは、「新しい制度が決まった」という話ではありません。

【重要度:L2 IMPORTANT|確定度:検討・対応進行中】

行政がどの医薬品を医療上必要と評価し、国内開発や承認につなげようとしているのか。そのプロセスが現在進行形で動いていること自体が、医療機関にとって確認しておく価値のある情報です。

そもそも「ドラッグ・ロス」とは何か

海外では承認・利用されている医薬品でも、日本では未承認だったり、国内開発が始まっていなかったりすることがあります。

こうした状況は、患者が海外で利用可能な治療へ国内ではアクセスしにくいという問題につながります。

厚生労働省は、医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬について、学会や患者団体などからの要望を受け、専門作業班や検討会議で評価し、必要に応じて企業への開発要請などを進めています。

9月4日の会議で何が扱われたのか

厚生労働省が公開した会議資料では、大きく次の論点が扱われています。

個々の薬剤だけを見るより、「必要性の評価→開発要請→開発状況の確認→承認につながる手続き」という行政プロセス全体を見る方が、この会議の意味を理解しやすくなります。

「公知申請」も重要な論点

今回の資料には、テモゾロミドとイリノテカン塩酸塩水和物について、公知申請への該当性に関する資料も含まれています。

公知申請は、一定の条件のもと、医学薬学上公知と認められる場合に、承認申請に必要な臨床試験の全部または一部を新たに実施することなく申請できる仕組みです。

ただし、会議資料に掲載されたことと、個別の適応が正式に承認されたことは同義ではありません。医療現場では、実際の承認状況や添付文書、関連通知を確認して判断する必要があります。

クリニックには関係ない話なのか

専門性の高い会議なので、一般的なクリニックの日常診療とは距離があるように見えるかもしれません。

しかし、行政がどの領域を「医療上の必要性が高い」と評価し、どこに開発促進策を講じているのかを見ることは、今後の診療環境を理解するうえで意味があります。

特に自由診療やオンライン診療では、海外で使用されている医薬品の情報が患者側から持ち込まれる場面もあります。

「海外では使われている」と「日本で承認されている」は別です。

未承認薬・適応外使用を扱う場合には、承認状況、適応、入手経路、安全性情報、患者への説明などを分けて確認する必要があります。

HDNが行政の「検討段階」から追う理由

行政情報は、制度が決定した日に突然現れるわけではありません。

審議会や検討会で論点が提示され、資料が公開され、関係者の意見を踏まえながら具体化し、通知や制度改正へ進むものがあります。

そのためHDNでは、今後「決定した情報」だけでなく、医療機関への影響が見込まれる重要な検討段階についても取り上げます。

その際は、検討中なのか、方針案なのか、正式決定なのか、施行済みなのかを明確に区別します。

今回のドラッグ・ロス対策は、まさに継続して追うべきテーマです。

今後確認したいポイント

今後は、個別品目の評価結果、企業への開発要請、開発工程の進捗、公知申請や承認に向けた動きを追う必要があります。

HDNでは一次資料を確認しながら、医療制度の変化を「決まってから知らせる」だけではなく、「何が動き始めているのか」から継続的に整理していきます。

※本記事は2026年9月5日時点で厚生労働省が公開している会議資料をもとにした制度動向の解説です。個別の医薬品の使用可否や承認状況については、最新の添付文書、PMDA・厚生労働省の情報等をご確認ください。