今週の薬機法・景表法に関する重要なニュースをお届けします。
📑 今週のアップデート内容
- [措置命令] 株式会社アイリスプラザ及び株式会社ダイユーエイトに対する景品表示法に基づく措置命令(11月5日)
- [法改正] 2025年薬機法改正 – 11月20日施行まで残り10日
- [制度情報] ECモールでの原産国表示管理の重要性
その他の更新(1件)
- [業界動向] 原産国不当表示の取り締まり強化
📌 今週のハイライト
1. ⚖️ [措置命令] アイリスプラザ・ダイユーエイト – 海外産を「国内」表示で措置命令
消費者庁は2025年11月5日、株式会社アイリスプラザ及び株式会社ダイユーエイトに対し、2社が供給する日用品等に係る表示について、消費者庁及び公正取引委員会(公正取引委員会事務総局東北事務所)の調査の結果を踏まえ、それぞれ、景品表示法に違反する行為(同法第5条第3号(商品の原産国に関する不当な表示第2項)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました。 CAA
違反内容の詳細:
アイリスプラザはECモールに開設した通販サイトで、ペットキャリー・木製チェア・毛布・布団などの合計101商品について、原産国(地)を「国内」と表示していました。消費者庁と公正取引委員会の調査によると、実際には「中国」「台湾」「マレーシア」「フィリピン」など海外が原産国(地)だったとしています。
また、ダイユーエイトはECモールに開設した通販サイトで、ペットフード・水筒・保存容器などの合計113商品について、原産国(地)を「国内」と表示していました。これらも実際の原産国(地)は、「中国」「フィリピン」「ベトナム」などでした。
違反期間と対象商品: 調査を担当した公正取引委員会によると、期間は両社とも昨年10月〜今年5月。対象商品はアイリスプラザが防災用品や家電など計101点、ダイユーエイトがペット用品や衛生用品など計113点でした。 Courts in Japan
企業背景: アイリスプラザは生活用品大手アイリスオーヤマのグループ会社。ダイユーエイトは東北を中心にホームセンターを展開しています。 Courts in Japan
違反の原因: 両社の表示が誤っていた外部サイトは元々の設定が国内産となる仕様で、海外産に変更していなかったといいます。両社は「確認が不十分だった。再発防止に努める」と同様にコメントしました。 Ministry of Health, Labour and Welfare
措置命令の内容:
- 違反表示が景品表示法に違反するものである旨を消費者に周知徹底
- 再発防止策の策定・実施
- 今後の広告に関する報告書の提出
公表資料: 📄 詳細ページ 📑 PDF報道発表資料(5.5MB)
事業者への教訓: ECモールの初期設定(デフォルト)を鵜呑みにせず、全商品について原産国表示の正確性を確認する必要があります。大手企業グループであっても、原産国表示の誤りは重大な景品表示法違反となります。
2. ⚖️ [法改正] 2025年薬機法改正 – 11月20日施行まで残り10日
施行日: 2025年11月20日(水)
11月20日の施行まで残り10日となりました。各事業者は最終確認段階です。
最終週の緊急チェックリスト
製造販売業者:
- ✅ 医薬品品質保証責任者・安全管理責任者の任命完了
- ✅ 責任者の権限と職務内容の文書化完了
- ✅ 組織図への明記と従業員への周知完了
- ✅ 役員レベルへの報告ライン確立完了
薬局:
- ✅ 調剤業務委託の契約締結完了(委託を予定している場合)
- ✅ 処方箋・調剤録の保存期間延長(3年→5年)への対応完了
- ✅ 零売医薬品規制強化への対応完了
11月20日以降の対応: 施行後も、運用状況を継続的に確認し、必要に応じて体制を見直すことが重要です。
3. 📋 [制度情報] ECモールでの原産国表示管理の重要性
今回の措置命令から浮き彫りになった課題:
アイリスプラザとダイユーエイトの事例は、ECモールでの商品出品時の原産国表示管理が不十分だったことが原因でした。
ECモールの初期設定(デフォルト)の落とし穴: 多くのECモールでは、商品登録時の原産国欄がデフォルトで「国内」や「日本」に設定されていることがあります。出品企業がこの設定を変更せずに商品を登録すると、実際は海外産であるにもかかわらず、「国内」表示のまま販売されてしまいます。
事業者が取るべき対策:
- 商品登録時の全項目確認: デフォルト設定を鵜呑みにせず、全項目を手動確認
- 原産国情報の一元管理: 自社の商品マスターデータで原産国を正確に管理
- 定期的な表示監査: 既に掲載中の商品についても定期的に表示内容を確認
- ECモール担当者への教育: 原産国表示の重要性を周知徹底
💡 今日の薬機法・景表法の学び – ワンポイント集
📌 学び1: 原産国表示の正しい管理 – アイリスプラザの事例から学ぶ
原産国表示の基本ルール:
景品表示法第5条第3号では、「商品の原産国に関する不当な表示」が禁止されています。具体的には、外国で生産された商品について、日本が原産国であるかのように誤認させる表示が違反対象です。
今回の違反事例:
アイリスプラザとダイユーエイトは、以下のような表示をしていました:
【表示】
原産国(地): 国内
【実際】
原産国: 中国、台湾、マレーシア、フィリピン、ベトナム等
合計214商品(アイリスプラザ101商品 + ダイユーエイト113商品)について、このような不当表示が行われていました。
よくあるNG事例:
❌ NG事例1: ECモールのデフォルト設定をそのまま使用
ECモールの商品登録画面:
原産国欄 → デフォルトで「国内」が選択されている
↓
そのまま登録
↓
実際は海外産なのに「国内」表示
→ 景品表示法違反
❌ NG事例2: 「国内配送」を「国内産」と誤認させる表示
「国内から発送」と表示
↓
消費者が「国内で生産された」と誤認
→ 景品表示法違反の可能性
✅ 正しい対応:
- 商品マスターデータの整備
- 全商品の正確な原産国情報を一元管理
- 仕入先から原産国証明書を取得
- ECモール出品時の確認体制
- デフォルト設定を使用せず、全項目を手動確認
- 原産国欄は必ず実際の原産国に変更
- 定期的な表示監査
- 既に掲載中の商品を定期的に監査(月次または四半期ごと)
- 原産国表示が正確かどうかを確認
- 複数ECモールへの出品時の注意
- 各ECモールごとにデフォルト設定が異なる可能性
- 全ECモールで統一的な確認プロセスを実施
📌 学び2: 「国内」表示と「日本製」表示の違い
表示方法による違い:
原産国表示には、いくつかのパターンがあります。それぞれの表示が持つ意味を正確に理解する必要があります。
表示例と正しい使い方:
表示意味使用可能な条件「日本製」日本が原産国日本国内で製造された商品のみ「国内」日本が原産国日本国内で製造された商品のみ「Made in Japan」日本が原産国日本国内で製造された商品のみ「中国製」中国が原産国中国で製造された商品「国内配送」日本国内から発送原産国を示すものではない(注意が必要)
「国内配送」と「国内製造」の混同に注意:
消費者は「国内」という言葉を見ると、「日本製」と認識する傾向があります。そのため、「国内配送」や「国内倉庫から発送」という表示であっても、消費者が誤認する可能性がある場合は、原産国を明確に併記する必要があります。
✅ 正しい表示例:
配送: 国内倉庫から発送
原産国: 中国
❌ NG表示例:
国内発送(原産国の記載なし)
→ 消費者が「日本製」と誤認する可能性
📌 学び3: デフォルト設定の確認義務 – システム任せの危険性
今回の措置命令で明らかになったこと:
両社の表示が誤っていた外部サイトは元々の設定が国内産となる仕様で、海外産に変更していなかったといいます。 Ministry of Health, Labour and Welfare
これは、ECモールやシステムのデフォルト設定を確認せずに使用した結果、景品表示法違反を引き起こした典型的な事例です。
デフォルト設定の危険性:
多くのECモールやECシステムでは、以下のような初期設定が存在します:
- 原産国欄: デフォルトで「日本」「国内」が選択されている
- 配送期間: デフォルトで「即日発送」が選択されている
- 在庫状況: デフォルトで「在庫あり」が選択されている
これらのデフォルト設定を変更せずに使用すると、実際とは異なる表示がされてしまい、景品表示法違反となる可能性があります。
事業者が取るべき対策:
1. システム導入時の初期設定確認
□ 全入力項目のデフォルト値を確認
□ デフォルト値が「選択なし」または「空欄」になるよう設定変更
□ 必須入力項目を設定し、デフォルト値のまま登録できないようにする
2. 商品登録マニュアルの整備
□ 原産国欄は必ず実際の原産国を選択する
□ デフォルト設定のまま登録しない
□ 登録前に全項目をダブルチェックする
3. 定期監査の実施
□ 月次または四半期ごとに全商品の表示を確認
□ システム更新時は特に注意(設定がリセットされる可能性)
4. 複数ECモール利用時の注意
□ ECモールごとにデフォルト設定が異なることを認識
□ 各ECモールの設定を個別に確認
□ 統一的な確認プロセスを構築
📌 学び4: 原産国表示違反の罰則とリスク
景品表示法違反の罰則:
原産国表示違反は、景品表示法第5条第3号に該当し、以下の罰則が科される可能性があります:
1. 措置命令:
- 違反表示の中止
- 消費者への誤認排除の周知
- 再発防止策の策定・実施
- 企業名の公表
2. 課徴金納付命令(別途):
- 違反期間中の対象商品売上額の3%
- ただし、原産国表示違反の場合、課徴金の対象外となるケースもある
3. 刑事罰(措置命令に従わない場合):
- 2年以下の懲役または300万円以下の罰金
4. 社会的信用の失墜:
- 企業名の公表による信用低下
- 取引先との関係悪化
- 株価への影響(上場企業の場合)
アイリスプラザの事例から見るリスク:
アイリスプラザは、生活用品大手アイリスオーヤマのグループ会社です。今回の措置命令により、以下のようなリスクが顕在化しました:
- グループ全体のブランドイメージの低下
- 消費者からの信頼喪失
- 取引先ECモールからの信用低下
- 今後の商品出品審査の厳格化
措置命令を回避するための事前対策:
- 確約手続の活用
- 社内調査で問題を発見した場合、消費者庁に自主的に相談
- 確約計画を申請すれば措置命令を回避できる可能性
- 定期的なコンプライアンス監査
- 外部専門家による定期監査の実施
- 原産国表示を含む全表示項目の確認
- 従業員教育の徹底
- 原産国表示の重要性を全従業員に周知
- ECモール担当者への定期研修の実施
🔍 今週の総括
今週はアイリスプラザとダイユーエイトへの措置命令という重要な事例が公表されました。
今週の重要ポイント:
- 原産国表示違反の厳格化: 大手企業グループであっても、原産国表示の誤りは重大な景品表示法違反となります
- ECモールのデフォルト設定の危険性: システムの初期設定を確認せずに使用すると、違反を引き起こす可能性があります
- 薬機法改正まで残り10日: 11月20日の施行に向けて、各事業者は最終確認を完了させる必要があります
事業者が今週取るべき行動:
- ECモールでの全商品の原産国表示を緊急点検
- デフォルト設定の確認と変更
- 商品マスターデータの整備
- 薬機法改正への対応完了(11月20日施行)
業界全体への警告: アイリスオーヤマグループのような大手企業でも措置命令を受ける時代です。ECモールでの商品出品においては、デフォルト設定に頼らず、全項目を手動確認する体制が不可欠です。
💡 次回更新: 11月17日(月)


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