今週の薬機法・景表法に関する重要なニュースをお届けします。
📑 今週のアップデート内容
今週(11月10日〜16日)は、消費者庁および厚生労働省から新規の措置命令や重大な違反事例の発表はありませんでした。
一方で、11月20日の薬機法改正施行まで残り4日となり、各事業者は最終確認を完了させる段階に入っています。
今週のフォーカス
- [法改正] 薬機法改正施行まで残り4日 – 緊急最終チェックリスト
- [制度解説] 11月20日施行内容の再確認
- [振り返り] 2025年11月の景表法違反措置命令まとめ
📌 今週のハイライト
1. ⚖️ [法改正] 薬機法改正施行まで残り4日 – 緊急最終チェックリスト
施行日: 2025年11月20日(水)
不正事案の発生等に伴う医薬品の供給不足や創薬環境の変化等の状況に対応し、引き続き品質の確保された医薬品等を国民に迅速かつ適正に提供していくため、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化、医療用医薬品等の安定供給体制の強化等、より活発な創薬が行われる環境の整備、国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等を行うため、薬機法を改正し、制度の見直しを行いました。 CAA
製造販売業者の緊急最終チェックリスト
11月19日(火)までに完了すべき事項:
✅ 医薬品品質保証責任者の配置
- 責任者の正式任命書は作成・交付済みですか?
- 責任者の氏名・経歴は社内に掲示されていますか?
- 責任者の権限(製造・出荷停止権限)は文書化されていますか?
- 責任者が経営層(取締役会)に直接報告できる体制は確立されていますか?
✅ 医薬品安全管理責任者の配置
- 責任者の正式任命書は作成・交付済みですか?
- 安全管理マニュアルは整備されていますか?
- 不具合発生時の報告フローは全従業員に周知されていますか?
✅ 特定医薬品供給体制管理責任者の配置(該当企業のみ)
- 特定医薬品の供給計画書は作成済みですか?
- 6か月以内の供給停止・制限を届出する体制は整備されていますか?
- 製造業者・卸売販売業者との連絡体制は構築済みですか?
- 厚生労働大臣への届出様式は準備されていますか?
✅ 組織体制の文書化
- 組織図に3つの責任者が明記されていますか?
- 責任者の職務内容は社内規程に明記されていますか?
- 全従業員に対して責任者の役割を説明する研修は実施済みですか?
薬局の緊急最終チェックリスト
✅ 調剤業務委託の準備(委託を予定している場合)
- 委託先薬局との契約書は締結済みですか?
- 委託可能な業務(一包化作業等)の範囲は明確ですか?
- 同一三次医療圏内の委託先であることを確認していますか?
- 業務フローマニュアルは作成済みですか?
✅ 処方箋・調剤録の保存期間延長
- 保存期間が3年から5年に延長されることを全スタッフが認識していますか?
- 保存スペースは確保されていますか?
- 電子データ保存体制は整備されていますか?
✅ 零売医薬品の規制強化
- 処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売が原則禁止されることを認識していますか?
- 例外的に販売可能なケースを理解していますか?
- 該当する医薬品リストは作成済みですか?
2. 📋 [制度解説] 11月20日施行内容の再確認
2025年5月14日に国会で薬機法等の改正法が成立し、同月21日に公布されました。改正法は一部の経過措置等を除き、同年11月20日以降、段階的に施行されます。 CAA
11月20日に施行される主要項目
1. 医薬品品質保証責任者・安全管理責任者の法定化
今回の改正で、すべての製造販売業者に対して「医薬品品質保証責任者」および「医薬品安全管理責任者」の設置が法定化されました。これにより、組織内に品質や安全性に関する明確な責任者が存在し、リスク発生時の対応や情報伝達が迅速かつ確実になることが期待されます。 Courts in Japan
2. 役員変更命令の対象拡大
法令違反など一定の場合に、その薬事に関する業務に責任を有する役員を変更しなければ、保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するために必要な業務の運営の改善が見込まれないと認めるときは、厚生労働大臣が薬事に関する業務に責任を有する役員の変更を命じることができるとしました。 Courts in Japan
3. 特定医薬品供給体制管理責任者の設置
特定医薬品の製造販売業者は、特定医薬品供給体制管理責任者を置かなければなりません。特定医薬品供給体制管理責任者は、製造販売をする特定医薬品に関する製造販売の計画の策定、当該特定医薬品の供給状況の調査並びに製造業者・卸売販売業者その他の当該特定医薬品の供給に係る関係者との連絡体制の整備その他の当該特定医薬品の供給体制の管理の統括を行います。 Courts in Japan
4. 供給停止・制限報告の義務化
特定医薬品の製造販売業者は、特定医薬品について、6か月以内にその出荷の停止や制限、またはそのおそれがある場合には、厚生労働大臣に届出をすることが義務化されました。これにより、医薬品の供給不安を迅速に把握できるようになります。 Courts in Japan
施行後の対応
11月20日以降も、運用状況を継続的に確認し、必要に応じて体制を見直すことが重要です。特に、責任者が実質的な権限を持っているか、形だけの配置になっていないかを定期的に確認してください。
3. 📊 [振り返り] 2025年11月の景表法違反措置命令まとめ
11月(11月1日〜16日)の措置命令件数: 1件
事例: 株式会社アイリスプラザ及び株式会社ダイユーエイト(11月5日)
違反内容: ECモールに開設した通販サイトで、合計214商品(アイリスプラザ101商品、ダイユーエイト113商品)について、原産国(地)を「国内」と表示していたが、実際には「中国」「台湾」「マレーシア」「フィリピン」「ベトナム」など海外が原産国だった。
違反類型: 原産国に関する不当な表示(優良誤認)
違反の原因: ECモールの初期設定(デフォルト)が「国内」となっており、海外産に変更していなかった。
教訓:
- ECモールの初期設定を鵜呑みにせず、全商品について原産国表示を確認する必要がある
- 大手企業グループであっても、システムのデフォルト設定に頼った管理は重大な違反を引き起こす
- 商品マスターデータの一元管理が不可欠
📄 詳細ページ
💡 今日の薬機法・景表法の学び – ワンポイント集
📌 学び1: 薬機法改正施行直前の最終確認 – 形だけの対応は厳禁
11月20日施行で最も重要なポイント:
薬機法改正で新設される3つの責任者は、単なる「名義上の責任者」では不十分です。厚生労働省は「実質的な権限」を明確に求めています。
実質的権限とは?
❌ NG: 形だけの責任者配置
- 責任者を任命したが、実際の権限は上司が持っている
- 問題を発見しても、経営層に報告できない
- 製造・出荷停止の判断権限がない
- 予算・人員の決定権がない
✅ OK: 実質的権限を持つ責任者
- 品質・安全に関する最終判断権を持つ
- 製造・出荷を即座に停止できる権限を持つ
- 取締役会に直接報告できる
- 品質管理に必要な予算・人員を決定できる
11月19日までに確認すべきこと:
- 責任者への聞き取り
- 「あなたは自身の判断で製造を停止できますか?」
- 「問題を発見した場合、誰に報告しますか?」
- 「必要な人員や設備を独自に確保できますか?」
- 社内規程の確認
- 責任者の権限が明文化されているか
- 経営層への報告ラインが確立されているか
- 責任者の判断が優先される仕組みがあるか
- 従業員の認識確認
- 全従業員が責任者の存在と役割を知っているか
- 問題発生時に責任者に報告する体制があるか
📌 学び2: 過去の不正事案から学ぶ – 名義責任者の危険性
過去の後発医薬品製造不正事案:
2020年代前半、複数の後発医薬品メーカーで製造不正が発覚しました。これらの事案では、品質管理責任者が存在していたにもかかわらず、以下の問題がありました:
問題1: 経営層の圧力
品質管理責任者: 「この製品は規格を満たしていません」
経営層: 「納期があるから出荷しろ」
→ 責任者の判断が無視される
→ 不正製造の常態化
問題2: 報告ラインの不備
問題発見 → 部長止まり → 役員に報告されず
→ 組織的な隠蔽
→ 問題の長期化
問題3: 名ばかり責任者
責任者として名前だけ登録
実際の業務は他の担当者が実施
→ 責任の所在が不明確
→ 問題発生時の対応遅延
今回の薬機法改正はこれらを防ぐため:
- 責任者の法定化(任意ではなく義務)
- 役員変更命令の導入(経営層の責任明確化)
- 責任者変更命令の導入(不適切な責任者の交代強制)
📌 学び3: 11月20日以降の監視強化 – 厚生労働省の確認方法
施行後、厚生労働省はどのように確認するか?
11月20日以降、厚生労働省は以下の方法で各事業者の対応状況を確認すると予想されます:
1. 書面調査
- 責任者の任命書の提出要請
- 組織図の提出要請
- 社内規程の提出要請
2. 実地調査
- 責任者への直接聞き取り
- 従業員への認識確認
- 実際の意思決定プロセスの確認
3. 緊急時の対応確認
- 問題発生時のシミュレーション
- 責任者の判断権限の実証
- 報告ラインの機能確認
形だけの対応が発覚した場合:
- 業務改善命令
- 役員変更命令
- 責任者変更命令
- 最悪の場合、業務停止命令
11月20日までに準備すべきこと:
□ 責任者が実際に権限を行使できる体制を構築
□ 従業員全員への周知完了
□ 緊急時の対応マニュアル作成
□ 責任者による模擬訓練の実施
📌 学び4: ECモールでの原産国表示管理 – 11月の教訓
11月5日のアイリスプラザ・ダイユーエイト事例の再確認:
この事例は、ECモールのデフォルト設定に頼った管理が重大な景品表示法違反を引き起こすことを示しました。
全事業者が今すぐ確認すべきこと:
1. 自社が出品している全ECモールの確認
□ Amazon
□ 楽天市場
□ Yahoo!ショッピング
□ その他のECモール
2. 各ECモールでの原産国表示の確認
□ 商品登録画面のデフォルト設定を確認
□ 既に登録済みの全商品の原産国表示を確認
□ 誤りがあれば即座に修正
3. 原産国情報の一元管理
□ 商品マスターデータに原産国情報を登録
□ 仕入先から原産国証明書を取得
□ 定期的な情報更新プロセスを確立
4. ECモール担当者への教育
□ 原産国表示の重要性を周知
□ デフォルト設定を変更する手順を教育
□ 定期的な監査体制を構築
🔍 今週の総括
今週は新規の措置命令の発表はありませんでしたが、11月20日の薬機法改正施行まで残り4日という極めて重要な時期です。
今週の重要ポイント:
- 薬機法改正施行まで残り4日: 11月19日(火)までに全ての準備を完了させる必要があります
- 形だけの対応は厳禁: 責任者の「実質的な権限」が必須です。名義だけの配置は、施行後の監査で発覚し、厳しい行政処分の対象となります
- ECモールでの原産国表示: 11月の措置命令事例を教訓に、自社の全商品の原産国表示を緊急確認してください
事業者が今週末までに取るべき行動:
- 製造販売業者: 3つの責任者の配置と実質的権限の最終確認(11月19日までに完了)
- 薬局: 調剤業務委託・保存期間延長・零売規制への対応完了
- 全事業者: ECモールでの原産国表示の緊急確認と修正
11月20日を迎える準備: 施行日を無事に迎えるためには、形式的な対応ではなく、実質的な体制整備が不可欠です。特に、責任者が本当に権限を持ち、機能する体制になっているかを、今一度確認してください。
💡 次回更新: 11月24日(月) – 施行後の状況をレポート


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