今週の薬機法・景表法に関する重要なニュースをお届けします。
📑 今週のアップデート内容
- [法改正] 2025年薬機法改正 – 11月20日に施行完了
- [財務省提言] 2026年度診療報酬改定に向けた厳しい提言(11月5日・11日)
- [制度情報] 施行後の対応と継続的な体制確認の重要性
その他の更新(1件)
- [景表法]** 今週は新規の措置命令なし
📌 今週のハイライト
1. ⚖️ [法改正] 2025年薬機法改正 – 11月20日に施行完了
施行日: 2025年11月20日(水)
今週11月20日、2025年薬機法改正が施行されました。各事業者は新体制での運用を開始しています。
施行された主要項目
1. 医薬品品質保証責任者・安全管理責任者の法定化
すべての製造販売業者に対して、「医薬品品質保証責任者」および「医薬品安全管理責任者」の設置が義務化されました。これにより、組織内に品質や安全性に関する明確な責任者が存在し、リスク発生時の対応や情報伝達が迅速かつ確実になることが期待されます。
2. 特定医薬品供給体制管理責任者の設置
特定医薬品の製造販売業者は、特定医薬品供給体制管理責任者を置き、製造販売の計画策定、供給状況の調査、製造業者・卸売販売業者との連絡体制の整備を行います。
3. 供給停止・制限報告の義務化
特定医薬品について、6か月以内に出荷の停止や制限、またはそのおそれがある場合、厚生労働大臣への届出が義務化されました。
4. 役員変更命令の対象拡大
法令違反など一定の場合に、厚生労働大臣が薬事に関する業務に責任を有する役員の変更を命じることができるようになりました。
施行後の重要ポイント
継続的な体制確認:
- 責任者が実質的な権限を持っているか
- 形だけの配置になっていないか
- 従業員が責任者の存在と役割を認識しているか
厚生労働省による監視: 今後、厚生労働省は実地調査や書面調査を通じて、各事業者の対応状況を確認すると予想されます。形だけの対応が発覚した場合、業務改善命令や役員変更命令の対象となります。
2. 📋 [財務省提言] 2026年度診療報酬改定に向けた厳しい提言
財務省は11月5日と11月11日の財政制度等審議会で、2026年度診療報酬改定に向けた提言を発表しました。診療所に対して特に厳しい内容となっています。
11月5日の提言内容
診療所の経営状況: 財務省の調査によると、診療所の経常利益率は6.4%と病院の0.1%を大きく上回り、中小企業平均よりも高水準です。また、無床診療所の利益剰余金は1施設あたり1.35億円(2024年度)と高水準を保っています。
主な提言内容:
1. 機能強化加算(80点)の廃止検討 現在、かかりつけ医機能を持つ診療所に算定されている機能強化加算について、廃止を検討すべきとしています。
2. 外来管理加算(52点)の廃止または包括化 外来管理加算について、廃止するか地域包括診療料などへの包括化を提案しています。
3. かかりつけ医機能報告制度上の1号機能を有しない医療機関での初診・再診料の減算 かかりつけ医機能報告制度に基づく1号機能(継続的な医療提供)を有しない医療機関については、初診料・再診料を減算すべきとしています。
4. 診療報酬体系の見直し 「病院機能の集約」と「診療所数の適正化」に向けて、病院勤務医から開業医への更なるシフトを起こすことのないよう、診療報酬体系の見直しを図るべきとしています。
11月11日の追加提言
社会保障関係費の抑制: 社会保障関係費について、「その実質的な伸びを、高齢化による伸びに抑える」方針を継続すべきとの考えを改めて表明しました。
物価・経済動向等への対応: 医療機関の機能・種類別の経営状況、収益費用構造等を踏まえ、データに基づき検討する必要があるとし、診療所の利益率や利益剰余金は全体として高水準であり、足下で赤字施設が顕著に増加しているとも評価できないと指摘しました。
医療界との対立
病院経営の窮状を踏まえ、医療団体は「診療報酬の大幅引き上げ」を強く求めており、財務省提案とは真っ向から対立しています。今後、社会保障審議会や中央社会保険医療協議会での議論が活発化すると予想されます。
3. 📊 [制度情報] 施行後の対応と継続的な体制確認の重要性
11月20日以降の事業者の対応:
薬機法改正の施行により、各事業者は新体制での運用を開始しましたが、施行後も継続的な体制確認が不可欠です。
チェックポイント:
1. 責任者の実質的権限の確認
- 製造・出荷停止の判断を責任者が独自に行えるか
- 経営層への直接報告ラインが機能しているか
- 必要な予算・人員を責任者が決定できるか
2. 従業員の認識確認
- 全従業員が責任者の存在と役割を認識しているか
- 問題発生時に責任者に報告する体制があるか
3. 定期的な見直し
- 月次または四半期ごとに体制の見直しを実施
- 責任者による定期報告の実施
💡 今日の薬機法・景表法の学び – ワンポイント集
📌 学び1: 薬機法改正施行後の監視強化 – 形だけの対応は即座に発覚
施行後、厚生労働省はどう確認するか?
11月20日の施行後、厚生労働省は以下の方法で各事業者の対応状況を確認すると予想されます:
1. 書面調査
- 責任者の任命書の提出要請
- 組織図の提出要請
- 社内規程の提出要請
→ 形式的な確認
2. 実地調査
- 責任者への直接聞き取り
「あなたは独自に製造を停止できますか?」
「問題発生時、誰に報告しますか?」
- 従業員への認識確認
「品質保証責任者は誰ですか?」
「問題を発見したらどうしますか?」
→ 実質的な権限の確認
3. 緊急時の対応確認
- 問題発生時のシミュレーション実施
- 責任者の判断権限の実証
- 報告ラインの機能確認
→ 実際の機能確認
形だけの対応が発覚した場合の処分:
違反内容処分責任者が名義のみ業務改善命令実質的権限なし責任者変更命令経営層が関与せず役員変更命令重大な不備業務停止命令
事業者が今すぐ確認すべきこと:
□ 責任者が実際に権限を行使できる体制か
□ 従業員全員が責任者の役割を認識しているか
□ 緊急時の対応マニュアルが整備されているか
□ 責任者による模擬訓練を実施したか
📌 学び2: 財務省提言の影響 – 診療所経営への警鐘
財務省が指摘する診療所の経営実態:
財務省の調査によると、診療所と病院の経営状況には大きな格差があります:
項目診療所病院経常利益率6.4%0.1%利益剰余金(平均)1.35億円-経営状況高水準を維持窮状
財務省の論理:
診療所の利益率が高い
↓
診療報酬が過剰に配分されている
↓
診療報酬の適正化(減額)が必要
↓
機能強化加算・外来管理加算の廃止/削減
医療界の反論:
病院経営が逼迫している
↓
診療報酬全体の引き上げが必要
↓
診療所の削減は医療アクセス悪化につながる
2026年度診療報酬改定への影響:
財務省の提言は、2026年度の診療報酬改定に大きな影響を与えます。特に以下の点が焦点となるでしょう:
- 機能強化加算の存続: 廃止か、継続か、減額か
- 外来管理加算の扱い: 廃止か、包括化か
- 診療報酬全体の改定率: プラス改定か、マイナス改定か
診療所経営者が取るべき対応:
□ 利益剰余金の適正な使途を検討(設備投資、人材育成)
□ かかりつけ医機能の強化を進める
□ 地域包括診療料など、高度な機能の算定を目指す
□ 経営の透明性を高め、適正な運営を示す
📌 学び3: 機能強化加算廃止の影響 – かかりつけ医機能への打撃
機能強化加算とは?
機能強化加算は、かかりつけ医機能を持つ診療所に対して算定される診療報酬です:
- 点数: 80点(初診時に算定)
- 金額: 800円(3割負担で患者負担240円)
- 対象: かかりつけ医機能を有する診療所
財務省が廃止を提案する理由:
- 診療所の利益率が高い: 経常利益率6.4%は中小企業平均を上回る
- 実効性への疑問: 機能強化加算を算定していても、実際のかかりつけ医機能が不十分な診療所が存在
- 二重算定の指摘: 地域包括診療料など他の加算と重複している
廃止された場合の影響:
診療所への影響:
年間患者数1,000人の診療所の場合
80点 × 1,000人 = 80,000点
= 80万円の減収
患者への影響:
初診時の負担が240円減少(3割負担の場合)
しかし、診療所がかかりつけ医機能を縮小する可能性
医療提供体制への影響:
診療所がかかりつけ医機能を放棄
↓
患者が大病院に集中
↓
大病院の負担増加
↓
医療提供体制の混乱
対策として診療所が取るべき行動:
□ かかりつけ医機能を実質的に強化
□ 地域包括診療料など、より高度な算定を目指す
□ 在宅医療の提供体制を整備
□ 24時間対応体制の構築
□ 他の医療機関との連携強化
📌 学び4: 社会保障費抑制の方針継続 – 医療・介護業界への長期的影響
「高齢化による伸びに抑える」方針とは?
財務省は、社会保障関係費について、「その実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる」という方針を継続すべきと提言しています。
具体的な意味:
【許容される伸び】
高齢者数の増加 × 1人あたり医療費
= 高齢化による自然増
【許容されない伸び】
診療報酬の引き上げ
新しい医療技術の導入
医療サービスの拡充
過去10年の実績:
この方針は2013年度以降継続されており、医療費の伸びは以下のように抑制されてきました:
- 2013年度〜2023年度の平均伸び率: 約2%
- 高齢化による自然増: 約1.5%
- 診療報酬改定等による伸び: 約0.5%
医療・介護業界への影響:
1. 診療報酬改定の厳しさ
2024年度診療報酬改定: +0.88%(医科+0.52%)
→ 物価上昇率(約3%)を大きく下回る
→ 実質的には減額
2. 人件費の圧迫
賃上げ圧力
+ 診療報酬の抑制
= 経営の圧迫
3. 設備投資の困難
医療機器の高度化
+ 診療報酬の抑制
= 設備投資の先送り
医療・介護事業者が取るべき対応:
□ 生産性向上: ICT・AI活用、業務効率化
□ 機能分化・連携強化: 病院と診療所の役割分担
□ 人材育成: 多職種連携、タスクシフト
□ 経営の効率化: 無駄の削減、収益構造の見直し
□ 政策提言: 医療団体を通じた適正な診療報酬の訴え
🔍 今週の総括
今週は2つの重要な出来事がありました。
1. 薬機法改正の施行(11月20日): 新体制がスタートしましたが、形だけの対応では厚生労働省の監視で即座に発覚します。継続的な体制確認と実質的な権限の付与が不可欠です。
2. 財務省の厳しい提言(11月5日・11日): 診療所の利益率の高さを理由に、機能強化加算の廃止や外来管理加算の見直しなど、厳しい診療報酬削減案が提示されました。2026年度診療報酬改定に向けた議論が本格化します。
事業者が今週から取るべき行動:
- 製造販売業者: 責任者の実質的権限を再確認し、従業員への周知を徹底
- 診療所: かかりつけ医機能の実質的強化と経営の透明性向上
- 全事業者: 社会保障費抑制の流れを踏まえた中長期経営戦略の見直し
業界全体への警告: 薬機法改正の施行と診療報酬改定の動きは、医療・医薬品業界全体に大きな変革を迫っています。形式的な対応ではなく、実質的な体制整備と経営改善が求められる時代に突入しました。
💡 次回更新: 12月2日(月)


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