今週の薬機法・景表法に関する重要なニュースをお届けします。
📑 今週のアップデート内容
- [措置命令] 株式会社ツルハグループマーチャンダイジングに対する景品表示法に基づく措置命令(11月28日)
- [法改正] 薬機法改正施行後の運用状況
- [制度情報] ECサイトでの価格管理システムの重要性
その他の更新(1件)
- [財務省] 今週は診療報酬関連の新規提言なし
📌 今週のハイライト
1. ⚖️ [措置命令] ツルハグループマーチャンダイジング – 二重価格表示79商品で措置命令
消費者庁は2025年11月28日、株式会社ツルハグループマーチャンダイジングに対し、同社が供給する商品に係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第2号(有利誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました。 Yakuji-navi
違反内容の詳細:
「ツルハグループe-shop本店」で今年2月から6月にかけ、シャンプーやハンドソープなど79商品で「特別価格」と「通常価格」を並べて表示していたが、この通常価格で販売していた実績はなかった。
今年2〜6月、自社の通販サイトで「通常価格」が612円のハンドソープを「特別価格」で498円と表示。通常価格で販売した実績は長期間にわたり確認できなかったとしています。 Consumer Affairs Agency
違反期間と対象商品:
- 期間: 2025年2月〜6月
- 対象商品: 79商品(シャンプー、ハンドソープ、その他日用品)
- サイト: ツルハグループe-shop本店
企業背景: ツルハホールディングス(札幌)は、ドラッグストア大手で、子会社のツルハグループマーチャンダイジングはツルハグループで取り扱う商品の通販などを手がけています。 Job Medley
違反の原因: ツルハグループは同日、ツルハグループe-shop本店に「お知らせ」を掲載。「誤認を与える表示」を謝罪するとともに、違反の原因は「商品情報管理に付随したメンテナンス不備」だったと説明しています。
同社の担当者は取材に「商品情報の管理に不備があった。意図的な違反ではなかった」とした上で「真摯に受け止め、再発防止に努める」と述べました。 Consumer Affairs Agency
措置命令の内容:
- 違反表示が景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底
- 再発防止策を講じて役員及び従業員に周知徹底
- 今後同様の表示を行わないこと
公表資料: 📄 詳細ページ 📑 PDF報道発表資料(1.9MB)
事業者への教訓: 大手ドラッグストアチェーンであっても、ECサイトの価格管理システムのメンテナンス不備が重大な景品表示法違反を引き起こします。システムの定期的な監査と、通常価格の販売実績管理が不可欠です。
2. ⚖️ [法改正] 薬機法改正施行後の運用状況
11月20日施行から約2週間が経過:
薬機法改正の施行から約2週間が経過し、各事業者は新体制での運用を継続しています。現時点で厚生労働省から重大な違反事例や指導事例の公表はありませんが、今後の実地調査や書面調査での確認が予想されます。
事業者が継続的に確認すべき事項:
製造販売業者:
- 医薬品品質保証責任者・安全管理責任者が実質的な権限を持っているか
- 従業員が責任者の存在と役割を認識しているか
- 問題発生時の報告ラインが機能しているか
薬局:
- 調剤業務委託を実施している場合、委託先との連携が適切に機能しているか
- 処方箋・調剤録の保存期間延長(3年→5年)への対応が完了しているか
- 零売医薬品の規制強化への対応が適切に行われているか
3. 📋 [制度情報] ECサイトでの価格管理システムの重要性
今回の措置命令から浮き彫りになった課題:
ツルハグループマーチャンダイジングの事例は、ECサイトの価格管理システムのメンテナンス不備が景品表示法違反を引き起こすことを示しました。
システム管理上の問題点:
- 価格情報の更新管理不足: 「通常価格」のデータが実際の販売実績と連動していなかった
- 定期監査の欠如: 価格表示の妥当性を定期的にチェックする体制がなかった
- 販売実績との照合不足: 「通常価格」での販売実績を確認するプロセスが不十分
事業者が取るべき対策:
- 価格管理システムの定期監査: 月次または四半期ごとに全商品の価格表示を確認
- 販売実績データとの自動連携: 通常価格での販売実績が8週間のうち4週間以上あるかシステムで自動チェック
- アラート機能の実装: 通常価格での販売実績がない場合、自動的に警告を出す仕組み
- 担当者への教育: 景品表示法の二重価格表示ルールを周知徹底
💡 今日の薬機法・景表法の学び – ワンポイント集
📌 学び1: ECサイトの二重価格表示管理 – ツルハの事例から学ぶ
ツルハの違反事例の詳細:
ツルハグループマーチャンダイジングは、ECサイト「ツルハグループe-shop本店」で79商品について、以下のような表示をしていました:
【表示例】
通常価格: 612円
特別価格: 498円
→ 114円もお得!
【実態】
通常価格612円での販売実績なし
→ 景品表示法違反
景品表示法の二重価格表示ルール(再確認):
【原則】
過去8週間のうち、4週間以上は通常価格で販売していた実績が必要
【具体例】
✅ OK: 8週間のうち5週間は通常価格612円で販売、3週間は特別価格498円
❌ NG: 8週間すべて特別価格498円で販売、通常価格612円の実績なし
ツルハのケースの特徴:
- 期間の長さ: 2月〜6月の5ヶ月間にわたり違反が継続
- 商品数の多さ: 79商品と大規模な違反
- システム管理の問題: 意図的ではなく、メンテナンス不備が原因
事業者が今すぐ確認すべきこと:
□ 自社ECサイトの全商品について、「通常価格」表示の有無を確認
□ 「通常価格」表示がある商品について、過去8週間の販売実績を確認
□ 8週間のうち4週間以上、通常価格で販売していたか検証
□ 販売実績がない場合、即座に表示を修正
📌 学び2: 「メンテナンス不備」は免責理由にならない
ツルハの説明と消費者庁の判断:
ツルハグループは「商品情報管理に付随したメンテナンス不備」が原因であり、「意図的な違反ではなかった」と説明しました。
しかし、消費者庁は措置命令を出しました。これは、意図の有無にかかわらず、結果として消費者を誤認させた場合、景品表示法違反となることを示しています。
景品表示法の考え方:
【判断基準】
一般消費者が誤認したか
↓
YES → 景品表示法違反
【事業者の意図は考慮されない】
意図的 → 違反
意図的でない(過失) → 違反
システムエラー → 違反
過去の類似事例:
- アイリスプラザ・ダイユーエイト(2025年11月): ECモールのデフォルト設定が原因 → 措置命令
- NOVA(2025年10月): 慣例化したキャンペーン表示 → 措置命令
- テレビ新広島(2025年10月): 確認不足による「初出店」表示 → 措置命令
共通点: いずれも「意図的ではなかった」と主張したが、措置命令を受けた
事業者が認識すべきこと:
「意図的でなかった」は免責理由にならない
↓
システム管理・確認体制の構築が必須
↓
定期的な監査と即座の修正が重要
📌 学び3: 大手企業でもシステム管理不備で違反 – 全業種への警告
2025年11月の措置命令から見える傾向:
11月5日: アイリスプラザ・ダイユーエイト
- 大手企業グループ
- ECモールのデフォルト設定が原因
- 原産国表示違反
11月28日: ツルハグループマーチャンダイジング
- 大手ドラッグストアグループ
- 価格管理システムのメンテナンス不備
- 二重価格表示違反
共通する教訓:
- 大手企業でも違反: 企業規模は免責理由にならない
- システム管理の問題: いずれもシステムの設定・管理不備が原因
- 複数商品で違反: 1商品だけでなく、数十〜百以上の商品で違反
全業種の事業者への警告:
【ECサイト運営企業】
□ 価格表示システムの定期監査
□ 販売実績データとの自動連携
□ 原産国表示の正確性確認
【実店舗企業】
□ 店頭POPの表示確認
□ チラシ・広告の事前審査
□ 従業員への教育徹底
【全事業者共通】
□ 法務部門による定期チェック
□ 外部専門家による監査
□ 違反発見時の迅速な修正体制
📌 学び4: 11月は措置命令が集中 – 年末商戦前の取り締まり強化か
2025年11月の措置命令まとめ:
日付企業名違反内容商品数11月5日アイリスプラザ原産国表示違反101商品11月5日ダイユーエイト原産国表示違反113商品11月28日ツルハグループMD二重価格表示違反79商品
合計: 3社、293商品
11月に措置命令が集中した背景(推測):
- 年末商戦前の警告: 12月は最大の商戦期。その前に厳正な取り締まりを示し、業界全体への警告効果を狙った可能性
- 調査の完了時期: 消費者庁の調査は数ヶ月かかるため、夏頃に開始した調査が11月に完了した可能性
- ECサイトへの監視強化: アイリスプラザ、ダイユーエイト、ツルハのいずれもECサイトでの違反。ECサイトでの不当表示が増加していることへの対応
12月以降の事業者の対応:
【年末商戦での注意点】
□ 「年末限定」「クリスマス特価」などの期間限定表示の根拠確認
□ 「通常価格」との比較表示の販売実績確認
□ 在庫状況と「在庫わずか」「完売間近」表示の整合性確認
□ ギフト商品の原産国表示確認
【2026年1月以降】
□ 11月の措置命令事例を社内で共有
□ 自社の価格表示・原産国表示を総点検
□ システム管理体制の見直し
□ 定期監査プロセスの構築
🔍 今週の総括
今週はツルハグループマーチャンダイジングへの措置命令という重要な事例が公表されました。
今週の重要ポイント:
- 二重価格表示違反の継続: 10月のNOVAに続き、11月もツルハで二重価格表示違反が発覚。消費者庁の監視が継続的に厳格化しています
- システム管理不備は免責理由にならない: 「意図的ではなかった」「メンテナンス不備が原因」という説明は、措置命令を回避する理由にはなりません
- 大手企業でも違反: ツルハという大手ドラッグストアチェーンでも、システム管理の不備で重大な違反を引き起こしました
- 11月は措置命令が集中: 年末商戦前の時期に、消費者庁が厳正な取り締まりを実施している可能性があります
事業者が今週から取るべき行動:
- ECサイトの全商品について、価格表示の緊急点検を実施
- 「通常価格」表示がある商品は、過去8週間の販売実績を確認
- 価格管理システムの定期監査プロセスを構築
- 年末商戦での限定表示・特価表示の根拠を事前確認
業界全体への警告: 11月だけで3社、293商品で措置命令が出ました。ECサイトでの価格表示管理は、もはや「努力目標」ではなく「必須の経営課題」です。システムの定期監査と即座の修正体制を構築しない企業は、いつ措置命令を受けてもおかしくない状況です。
💡 次回更新: 12月9日(月)


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