エンターテインメントに自然回帰が始まる!キャンプ市場を後押しする理由とは?

 

近年ブームの再燃が目立っていたアウトドアブームですが、新型コロナウィルスの蔓延で『3密』回避の行動が顕著となり、キャンプの人気が急激に高まっています。

豊かな自然を満喫できるフリーサイトキャンプや、あらかじめ区画が指定されたオートキャンプに加え、手軽に豪華なキャンプ体験ができる『グランピング』と呼ばれる新ジャンルが台頭し、今では誰もが自分のスタイルにあったアウトドア体験をより身近に楽しめるようになっています。

そんなキャンプブームですが、バブル期のアウトドアブームに比べてみると、キャンプ人口はまだまだ半分程度です。しかし、キャンプ関連のグッズ販売の売上高はほぼ同じ水準にせまっているのです。

 

 

今回は、新型コロナウィルスの蔓延に伴いいろいろな娯楽産業がマイナスの影響を受ける中で、売上げを急回復させているキャンプ場やキャンプ(アウトドア)用品業界についての考察をしてみたいと思います。

 

 

バブル期のアウトドアブームを見ると、キャンプだけではなくスキーやスノーボード、スキューバダイビング、ジェットスキーにゴルフといった『お金がかかる』アウトドアスポーツにも人気がありました。しかし今回のアウトドアブームでは、そのようなアウトドアスポーツへの関心よりも『キャンプ』だけに人気が集中しています。

この背景には、人気タレントがYouTubeでキャンプ動画を配信したり、発行した書籍が話題となったりして、キャンプの魅力が広く伝わったこと。また、バブル期にキャンプを楽しんでいた世代が親となり、友人や子どもとキャンプに出かけるといったことが影響しています。

 

 

今回のキャンプブームで目立つのは、キャンプにかける費用の高さです。前回のキャンプとは違い、最近ではキャンプグッズが多様化、ひとつ火を起こすにも100円ライターではなく、専用の火打石やマッチなどの道具がカッコよくYouTubeなどで紹介され、マニアック化したファンがお店やインターネットサイトで買い物を楽しみ、キャンプがすっかり高級化しています。

近年急激に人気が高まっているグランピングは、手ぶらで行けて、あらかじめ据え付けられた清潔で広いキャンプサイトに泊って美味しい食事も楽しめる施設ですが、その費用はホテル並みに高く、かつての安いキャンプのイメージとはうって変わるものです。

逆に、ソロキャンプといったコアなキャンプを楽しむ人は、より自然が多い自由度が高いキャンプサイトを求めて車やバイクで訪れます。しかしそこでも同じように、より快適に、よりマニアックな道具を使って、独自のキャンプを楽しんでいます。

 

 

キャンプグッズを販売するメーカーも顧客のニーズを敏感に察知して、先手を打ってマーケティングを行っています。それはキャンパーの衣食住すべてにわたり、キャンプをシンプルに楽しめて、ある程度難しくするものというイメージがあります。

最近のキャンプでは100円ライターやカセットコンロなどではなく、専用の火起こしやガスコンロが好まれているのが代表的な例です。アウトドアのウェアや高級なテントなども人気で、ホームセンターで買うものよりも高価な専門メーカーの単価の高いテントが人気です。

 

 

このように、アウトドアメーカーの努力もあって人気が高まっているキャンプですが、消費者の自然回帰は以前から起きていました。地球の温暖化問題や、自然災害や自然環境の変化など、身近に自然問題を感じ取ることができる現代では、多くの人が豊かな自然を大事にしながら『自然を楽しもう』という意識が高まっているからです。

このように、これまでのアウトドアブームとは違った『自然回帰』という概念が強くなっている今回のキャンプブームは、決して一過性のものではなく、コロナ禍が終息した後も続いていくことでしょう。このような嗜好の変化に、アウトドア産業やメーカーは遅れることなくビジネスモデルを構築していく必要があるのです。

 

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