いま、韓国発のエンターテインメントが世界中を席巻しています。
映画の世界ではアメリカのアカデミー賞の権威のある賞を受賞したかと思えば、音楽界でもアジア圏のアーティストとして初めてアメリカのヒットチャートでアルバム部門全米1位という快挙を成し遂げました。
日本の映画や音楽のエンターテインメントが、アジア市場だけでなく世界の市場へ進出するためには何が必要で、何が足りないのか?
今回は、そんな日本と韓国のエンターテインメントについて検証してみたいと思います。
韓国映画の躍進と韓国映画を取り巻く環境
韓国映画の躍進は、民主化が進んだ1990年代の半ばからです。そんな短期間でここまで躍進した理由について考えてみましょう。
韓国映画の特徴
映画のメディアは、エンターテインメントの中でもとくにグローバルなもののひとつで、海外の人が見ても共感しやすい作品作りがしやすいものです。
実際にカンヌ映画祭やアカデミー賞に受け入れられた韓国映画は、近年問題視されている「格差社会」をテーマにしたもので、国それぞれによっての事情は違えど、世界各国の人々に受け入れられる共通のメッセージがあったからこその快挙であったと思います。
また、難しい内容の社会問題をエンターテインメント化して、観客を楽しませるという難題をクリアしたということで、その潜在能力の高さと今後の更なる発展が期待できます。
次に、その躍進を下支えする映画を取り巻く環境について見ていきます。
韓国映画を取り巻く環境
今の韓国映画を下支えしているのは、圧倒的な数の映画ファンである韓国国民の存在です。
韓国国民は、日本人には考えられないほど映画好きで、常に新作映画を待っています。かつて日本人の最大の娯楽が映画であった頃は、家庭にテレビもなく、映画館でみる映像が珍しくて斬新なものでした。
しかし、今の韓国には当然ながらテレビがあり、日本とは違ったエンターテインメントとしての映画が定着していると言えます。
この目の肥えた自国内のオーディエンスが、韓国映画のクオリティーを挙げていることを想像するのは難しくありません。このようなたくさんの映画ファンと、そこから生まれる資金力が、韓国映画のクオリティーをどんどん押し上げているのです。
日本の映画界の現状
それに比べて、日本の映画界の現状は「衰退」の一途をたどっています。
日本映画は幸か不幸か、日本だけのマーケットで市場も成り立つために、海外受けする作品を作る「冒険心」がありません。そこで、映画の内容よりもキャスティング重視であったり、スポンサーの意向が強く反映される映画が目立ちます。
そんな視点から映画を制作すると、どうしてもグローバルな視点が薄くなります。クリエイターとしての資質は、日本の監督も韓国の監督も同じレベルといえます。そこで必要になるのは、やはり映画界を取り巻く環境なのではないでしょうか。
J-popとK-popの戦略と立ち位置の違い
韓国が国を挙げて海外への進出を橋渡ししたのは映画だけではありません。それはK-popも同じで、巨大マーケットを求めて海外への進出をせざるを得なかったのです。
そこで生まれたのがK-popで、J-popと欧米音楽の良いところを融合させることで世界に通用する新しいジャンルを作り出しました。
もちろん日本にも同じようなアイドルグループは多数存在しますが、K-popのそれがポップカルチャー(大衆文化)なのに対し、J-popはサブカルチャーとして一部のコアなファン層をターゲットにしているのに過ぎません。
韓国では20年ほど前から、エンターテインメントを基幹産業、輸出産業と位置付け、綿密な計画のもとで国を挙げて育成してきました。最近になって、その結果が出てきたのです。
韓国では、IT産業への支援やスポーツ選手の育成など、国家規模のサポートが行なわれることが当たり前のように行われています。しかし、もともと文化的な産業への投資や資源が多くなかった韓国において、今後さらにエンターテインメント産業への資金流入が加速すれば、更なる飛躍が見られるかもしれません。
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