【無難な動画では、患者は動かない】クリニックのSNS・YouTube戦略で考える3つの動画
クリニックのSNSやYouTubeで何を発信すべきか。患者の不安を減らす動画、診療理解を深める動画、認知を取る動画の3分類と、LINE・予約までつなぐ考え方を解説します。
クリニックがSNSやYouTubeを始めるとき、「とりあえず院内紹介を撮る」「診療メニューを説明する」「投稿本数を増やす」ことが目的になりがちです。
しかし、患者さんが動画を見る理由は、クリニックが発信したい情報を受け取るためではありません。自分の不安を減らし、受診するかどうかを判断するためです。
私が医療機関のSNS・動画戦略を考えるときは、映像の美しさより先に「患者さんは何を怖がっているか」「何を知れば次の行動に進めるか」を確認します。
最初に作るべきは「安心材料」の動画
初診前の患者さんが気にしているのは、治療内容だけではありません。
- 駅や駐車場から迷わず行けるか
- 入口や院内は入りやすいか
- 受付はどんな雰囲気か
- どんな医師が診察するのか
- 診察で何を聞かれるのか
- 予約、問診、決済、薬の受け取りはどう進むのか
- プライバシーは守られるか
特にED、AGA、自由診療、オンライン診療などは、「治療を受けたい」という気持ちと同時に、「恥ずかしくないか」「面倒ではないか」「誰かに知られないか」という不安が生まれます。
だから最初に必要なのは、豪華なプロモーション映像ではなく、受診前の不明点を一つずつ消す動画です。
次に「診療理解」を深める動画を揃える
安心材料の次は、患者さんが自分に必要な診療か判断できる情報を用意します。
たとえばEDやAGAなら、診療の概要だけでなく、診察で何を確認するのか、治療の選択肢にはどのような違いがあるのか、注意点は何か、といった情報です。
肥満、睡眠、更年期、検査、点滴なども同じです。
「当院では○○治療を行っています」だけでは、患者さんは自分との関係を判断できません。誰に向くのか、どんな流れなのか、何を確認してから治療方針を決めるのかまで伝えることで、相談前の理解が深まります。
認知を取りにいく動画は「炎上」ではなく「違和感」を突く
一方、安心材料と診療説明だけでは、新しい人に見つけてもらいにくいことがあります。
ここで必要なのが認知獲得の動画です。ただし、炎上を狙う必要はありません。
狙うのは、患者さんが本当は気にしているのに、表では言いづらいテーマです。
たとえば、こんな切り口です。
- 「EDは気合いの問題ではありません」
- 「若くてもEDになる。珍しい話ではありません」
- 「ネットで薬を買う前に、確認してほしいことがあります」
- 「相談しづらいからこそ、オンライン診療という選択肢がある」
大事なのは、強い言葉そのものではありません。患者さんの誤解や不安に対して、医師が専門家として答えることです。
無難に埋もれない。ただし、煽らない。
この境界線を設計することが、医療機関のSNSでは重要だと考えています。
医療SNSは「バズれば成功」ではない
YouTube Studioでは、再生回数だけでなく、インプレッション、インプレッションのクリック率、平均視聴時間、総再生時間などを確認できます。YouTube自身も、クリック率だけを単独で見るのではなく、視聴時間や流入元などと合わせて判断する考え方を案内しています。
つまり、「投稿した」「再生された」で終わらせず、見つかったか、止まってもらえたか、見続けてもらえたかを見る必要があります。
そしてクリニックの場合、もう一つ重要なのが、その先です。
SNS・動画 → LINE登録 → 診療内容の確認 → 問診 → 予約 → 診療
動画の再生数が多くても、この導線が切れていれば受診にはつながりません。
HDNでは、SNSだけを切り離さず、医療機関向けSNS・YouTube戦略と、LHubを活用したLINE患者導線をつなげて設計しています。
医療機関だからこそ「攻め方」にはルールがある
医療機関の情報発信は、一般企業のSNS運用と同じ感覚では扱えません。
厚生労働省は医療広告規制に関するガイドラインや、ウェブサイト等の事例解説書を公表しています。2026年3月には「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」も掲載されています。
そのため、患者の関心を取ることと、誇大・誤認につながる表現を避けることを同時に考える必要があります。具体的な投稿は、診療内容、媒体、広告該当性などに応じて個別に確認する前提です。
まとめ:映像美より、患者の不安と次の行動を見る
クリニック動画は、私は次の3種類で整理しています。
- 安心材料 — 初診前の不安を減らす
- 診療理解 — 自分に必要な診療か判断できるようにする
- 認知獲得 — 言いづらい悩みや誤解に専門家として踏み込む
そして、動画の先にはLINE、問診、予約、診療があります。
クリニック動画に必要なのは、映像美ではなく、患者の不安を消す情報と、無視できない問いかけです。
何を撮ればよいか分からない段階でも、診療内容と患者導線から逆算すれば、必要な動画は整理できます。
羽田野剛士のプロフィールでは、SNS・YouTube戦略を含むHDNの支援領域を紹介しています。
よくある質問
クリニックは最初から毎日SNS投稿をする必要がありますか?
投稿頻度だけを先に決める必要はありません。まず、患者さんが受診前に必要とする安心材料と診療理解のコンテンツを揃え、その後に継続投稿のテーマと頻度を設計する方が運用しやすくなります。
ショート動画と長尺動画はどちらがよいですか?
目的によって使い分けます。認知を取りたいテーマは短く入口を作り、診療内容や患者さんの不安を丁寧に説明するテーマは長めの動画にするなど、一つの形式に固定しない方が設計しやすくなります。
医療機関でも少し強いタイトルを使えますか?
タイトルの強さだけで判断せず、内容との整合性、患者に誤認を与えないか、医療広告規制等への配慮が必要です。「煽る」のではなく、患者が抱える誤解や疑問を専門家として扱うことを基本にします。
参考情報
- 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」
- YouTube Help「Understand your YouTube content performance」
- YouTube Help「インプレッションとクリック率に関するよくある質問」
更新日・著者
- 更新日: 2026-08-10
- 著者: 羽田野 剛士
本記事は一般的な情報発信・運用設計の考え方を示すものです。個別の広告表現や法令適合性については、診療内容や掲載媒体等を踏まえて確認してください。